「ここは楽しむ場なんだから」
女がそういうと、ワイングラスを持ったミラゼが「そうよ」と言った。
「ここは酒場。身分の違いも関係ないの。初対面だろうと、みんな変わらず酒を飲みあうものよ」
ミラゼの言葉に、今度は遠くの席に座っている男達が「ジェイドさん!」と叫んだ。
「綺麗だねぇ!ちょっとルトとの関係を詳しく聞こうか!」
男達は、にやにやしながらルトを見ている。
「それは私も気になるな」
不機嫌な顔をしながら、リロザまでそんなことを言ってきた。
ルトは迷惑そうに、けれど楽しそうに笑っている。
それは、気を許した笑みで。
男達の言葉を皮切りに、場の空気が一気に私へ集中してきた。
あちこちから、ジェイドさん、と呼ぶ声が聞こえる。
「え…えっと」
こういう場合、どうすればいいのか。
なんせ慣れないものだから、この空気に応える術を知らない。
戸惑っていると、ルトが笑って私の手を掴んだ。



