私は少しばかり恐怖を感じながら、口を開いた。
「……ジェイドです…」
なんなんだ。
困惑する私をよそに、彼はさらに驚くべきことを言った。
「通りで偶然ぶつかってしまったが、ここでまた会えるとは!これは運命ではないか!?」
「……………」
え?
「運命………?」
何を言っているんだろうか、この男は。
酒場の人々も、私と同じことを思っているのか、言葉をなくしている。
「あ、あの…………?」
かろうじて疑問の声を漏らすと、男は我に返ったように咳払いをした。
「あ、ああ。申し遅れてすまない。私はリロザ。この街で最も名高いエルファード家の次男だ」
そう、得意げに男は名乗るのだが。
「……………はぁ」
エルファード家といえば、この街で何度か耳にした、財力ある貴族家だ。



