月夜の翡翠と貴方



その様子に、ミラゼが得意そうに笑う。

「ね?普通の酒場じゃないでしょう」

階段を降りると、段々と大きく聞こえてくる騒がしい声。

たくさんの笑い声や話し声が、薄暗い階段のなかでも響いていた。

そして、階段を降り終えると、視界が一気に明るくなる。



「……おーー!ルトじゃーん!」

「久しぶりー!」


そして見えたのは、たくさんの人々。

若者から年配まで、男女問わず色んな人が、片手にグラスを持って笑いあっている。

今まで何度か『酒場』について聞いたことはあったが、来るのは初めてだ。

その聞いていたそのままのような空間、明るい雰囲気。

ルトを呼んだ若者達は、カウンターに座ってこちらを見ていた。

彼が楽しそうに返事をして、そちらへ向かう。

ミラゼもいつの間にか、客にシャンパンを
注いでいた。


「……………………」


しばらく酒場を見回していたら、一人残されてしまった。

ルトは再会した友人たちと、それは楽しそうに談笑を始めてしまっている。

それは大いに構わないのだが、ルトに放置されては私の立場がない。