月夜の翡翠と貴方



静かに、その笑顔を見つめる。

出会ってから、何度も見てきた彼の色んな笑顔。

それなのに、ルトのする笑顔ひとつひとつを見て、その度に私の気持ちも変化していって。


見飽きない。

不思議と、ずっと見ていたい気分になる。


「……………どした?」


人通りの少ないところに入った。

ずっと見ていたからか、ルトが訝しげな顔をして、こちらを見てくる。

どんどん暗くなる街中は、自分たちを隠してくれるようで、心地よかった。

少しだけ、現実味がなかった。

だから、つい口走ってしまったのかもしれない。

「………私…」


ルトが、じっと私を見つめる。

深緑に、吸い込まれそうだった。



「…ルトの笑った顔、好き」



「え?」

ルトが目を見開いた瞬間、私が人にぶつかった。

慌てて謝ると、ぶつかった貴婦人は迷惑そうにこちらを見てから、去って行った。


「……………ジェイド」

そして再び、歩き始める。