月夜の翡翠と貴方



この街に数日いる。

その言葉が少し気になったが、私はルトについて行くだけだから。

聞いても、きっと仕方がない。

それにしても、この街にはルトの知り合いが多くいるらしい。

先程まで街を歩いていたが、彼はやけに街に詳しかった。

おかげで、人ごみだらけのこの街で、迷わずに済んだのだ。


辺りが段々と暗くなってくると、建物もちらほらと人工の明かりが灯り始める。

夜になっても、この街の人通りは変わらない。


「……この街は、明るいね」


依然として繋がる、手と手。

通り過ぎる人々の隙間から、街を眺めた。

きっと、もっと暗くなったら、そこら中にいろんな色が灯るはずだ。


「そうだなぁ~…この街は平和とは言えないけど、賑やかだよ。ここに住む人も、建物も、全部」


頭上から、そんな穏やかな声がする。

ふと、ルトを見上げた。


「俺は、夜のこの街がいちばん好き」


優しく笑う彼には、何処か物思いがあるようだった。