...ああ、どうしようか。
ルトの手と、背中を頼りについていく。
私には、それしかできない。
それしか、してはいけない。
この手を握り返しては、いけない。
握り返すことなんて、できない。
先程の店のことを思い出す。
ルトは店の女に、親しげに『久しぶり』と言っていた。
...私は、できない。
握り返せない。
ルトのことをなんにも知らない、ただの奴隷の私には。
*
「酒場?」
宿をとって街をふらふらしていると、いつの間にか夕方になった。
宿に戻るのかと思いきや、ルトは酒場にいくと言い出した。
「そ。知り合いがやってるとこなんだよ。どーせこの街に数日いることになりそうだし、ちょっと覗いていきたくてさ」
「...そう、なんだ」



