しばらく店内を惚けたように眺めていると、女が奥から出てきた。
「悪いが、まだ届いていない。明日また来てくれ」
低い女声を聞くと、ルトはため息をついた。
「…そうか。わかった。明日また来るよ。ありがと」
ルトはそう言うと、再び私の手を引いて、店を出ていく。
扉を開ける際にちらりと後ろを振り返ると、入った時と同じ、無表情な女の顔が見えた。
*
路地を抜けると、歩いてきた大通りへ出た。
来たとき同様、いやそれよりか、人の数があった。
波のように、目の前で人が行き交う。
またここに割り込んで進むのかと思うと、少しげんなりした。
「先に宿をとって、それから街をフラフラするか」



