月夜の翡翠と貴方



しばらく店内を惚けたように眺めていると、女が奥から出てきた。


「悪いが、まだ届いていない。明日また来てくれ」


低い女声を聞くと、ルトはため息をついた。


「…そうか。わかった。明日また来るよ。ありがと」

ルトはそう言うと、再び私の手を引いて、店を出ていく。

扉を開ける際にちらりと後ろを振り返ると、入った時と同じ、無表情な女の顔が見えた。







路地を抜けると、歩いてきた大通りへ出た。

来たとき同様、いやそれよりか、人の数があった。

波のように、目の前で人が行き交う。

またここに割り込んで進むのかと思うと、少しげんなりした。


「先に宿をとって、それから街をフラフラするか」