月夜の翡翠と貴方



「ハハ、いいんだよ。毎回違う店連れてってくれるし、飯美味いし」


ルトが、笑いながらスプーンでスープを掬った。

ラサバは、なんだかもう泣きそうな勢いでこちらに頭を下げてくる。

「本当に本当に…何から何まで、ありがとうございました。あなた方がいなければ、きっと無理でした。本当にありがとう」

咀嚼しながら、ルトが何気なく言う。

「いやー、実質俺らなんもしてねぇけどな。俺とか特に」

弾かれたように、ラサバが「いえいえ!」と言った。

「ルトさんがいなかったら…私はきっと、あんなに話せていなかったと思います……!」

「そーか?おっさんしっかりしてたけど」

私もそう思う。

本当に、今日のラサバの瞳には強さがあった。

ラサバは「ありがとう…」と照れ臭そうに笑う。

「パパぁ」

ラサバは愛おしそうに目を細めて、隣に座る娘の口元をハンカチで拭った。

…微笑ましい親子だ。

また、スジュナの笑顔が見れてよかった。


...なんて。

素直に思う自分がいて、少し戸惑っている。

私は……この親子に会って、今まで思った事のないことばかり思う。考えつく。