月夜の翡翠と貴方



私は笑ってスジュナを抱き上げると、立ち上がった。

「はい」

泣き続けるスジュナの体を渡すと、彼は瞳から涙を溢れさせながら、スジュナを抱きしめた。

ふたりの周りへ、ぞろぞろと人が集まる。

私は一歩後ろへ下がって、その光景を見つめた。

すると、隣でクランが微笑んでいるのに気づいて、ぱっと頭を下げた。


「ありがとうございます。本当に……」


私を見て、クランはいいのよ、と笑った。

「少しでも助けられたことが嬉しいわ。そもそも、私達の問題な訳だし。こちらこそありがとう」

彼女があの時ロゼを止めてくれなければ、今頃どうなっていただろうか。

クランはスジュナを見つめ、微笑んだ。

「…パン屋で会ったとき、私思ったのよ。この子は本当に父親が好きなのねって。だから、あなた達がこの部屋へ入ってきたとき、少し悲しかった」

...私も、この部屋に入る前から、心苦しさを感じていた。

確実に、彼女と会うことになる、と。