「…二年前、ニーファさんを亡くしてからのお前は、まるで魂のない瞳をしていた」
ニーファ。
知らない名前は、ラサバの顔を見れば誰のことか直ぐにわかった。
早くにこの世を去った、ラサバの妻だ。
彼が、静かに下を向いたのがわかる。
「ここにいる劇団員皆が声をかけたが、お前は一向に立ち直らなかった。仕事はいつも通りだったが、中身はまるでお前じゃないようだったよ」
ラサバの瞳が、陰る。
公園のベンチで彼が話してくれたことを思い出した。
劇団の皆には迷惑をかけてしまった、と苦しそうに言っていた。
「二年前、遠方へ出発する時に、お前はひとりこの町を出たくないと言った。そのときはお前の意志を尊重したが、少し怖かった。次ここに帰ったときには、もうお前はいないんじゃないかとさえ思ったよ」
ラサバは眉を下げ、辛そうに顔を歪めている。
他の劇団員達は、ふたりの会話を見つめていた。



