月夜の翡翠と貴方



そして、瞳をその横へ動かした。


「ラサバ」


呼ばれたラサバは、びく、と肩を震わせる。


「貴方、この子の事すごく大事なんでしょう」


クランの言葉に、ラサバは息を呑んで、けれどしっかりとした瞳と声で、返事をした。


「…ああ。凄く、大事だよ。一番大切な、宝物だ」


クランは満足げに微笑むと、視線を動かした。

「座長。…………いえ、父さん」

その先にいたのは、成り行きを静かに伺っていた大男だった。

...座長。

そして、劇団一家の父親。

クランの瞳は、あとの判断は任せる、と語っていた。

座長と呼ばれた男は、ふぅ、と息を吐いた。


 「ラサバ」


男の低い声が、部屋に響く。

落ち着いていて、通る声だった。

「はい」

男は、ラサバと同じ紅の瞳を揺らし、口を開いた。