月夜の翡翠と貴方



憂いに満ち溢れた、美しい表情だった。


「あなたは…………………」


クランはそっとラサバを見た後、スジュナと目を合わせた。


「…あなたは、ただラサバのことが、大好きなだけなのでしょう…?」


その言葉は、部屋中に透き通って響いた。

スジュナはその問いに、少しだけ驚いたようだった。

そして、瞳にじわじわと雫をため、碧色を潤ませる。

その瞳には、なんの躊躇いも迷いもない。

大粒の涙を溜めた瞳を揺らし、スジュナは震えた声で返事をした。


「うん。大好き」


幼い少女のその一言は、醜い大人達の心に深く通った。

...一言で、いいのだ。

その純粋で、ひたむきな想いだけで。


「クラン姉さん………………」


ロゼが眉を下げ、クランを見つめた。

クランは静かに、周りを見渡した。

「…ロゼの気持ちも、わかるわ。けど…私は、この子を信じようと思うの」

彼女の視線が、ルトに止まる。

「貴方の言うとおり、私達はスジュナちゃんのことを何も知らないわ。先入観だけ先走ってしまっては、いけないわね」