月夜の翡翠と貴方



「………もう、いいじゃない……」


クランの言葉に、ロゼの他、周りの役者が驚いた顔をした。


「………………スジュナちゃん、って言ったかしら」

クランは憂いに満ちた目を動かすと、瞳に大粒の涙を浮かべたスジュナに視線を向けた。


「……この子には、なんの罪も責任もないわ」


ロゼが眉を下げ、俯く。

その様子を一度見て、クランはスジュナへ視線を戻した。


「…ねぇ、スジュナちゃん」


呼ばれたスジュナは、クランをひたすらに見つめ返していた。

スジュナも、気づいているのだろう。

クランにパンを譲ってもらった事を、思い出しているはずだ。

「…綺麗な目ね」

クランが、優しく目を細めた。