月夜の翡翠と貴方



ロゼがその様子を見て、信じられないという声をあげる。


「そんな子かばってなんになるのよ!」


…………私だって、奴隷だ。

しかし、奴隷だと言わなければ、誰にもわからない。

スジュナだって、見た目は普通の子供となんら変わりない。

けれど、私は知っている。

身分の上で、このペルダインという格差の国で。

貴族は市民を見下し、市民は唯一、見下すことのできる奴隷という最低の身分の存在を、知っている。

私達はいつだって見下される。

鬱憤のたまった市民達のはけ口となる。


...わかっている、けれど。


ラサバと、スジュナには。

ふたりには、お互いが必要なのだ。

依存ともいえるほどに。


奴隷と主人の間に、絆など生まれないと思っていた。

けれど、ふたりの間には、確かに絆があった。

純粋な、愛。

決して生まれるはずのない愛が、ふたりにはあるのだ。