月夜の翡翠と貴方



どこまで近づいて、どこで止まればいいのか、わからない。





噴水公園のベンチで、ぼーっと木々を眺める。

とてとてと身軽に歩くハトが、心底羨ましい。

小さくふぅ、と息を吐いた。


…考えてみると、ルトに買われて三日が経つ。

なんだか、すごく疲れた。

戸惑って考えて、考えて戸惑っての連続である。

こんな事、初めてだ。

主人との距離感なんて、大体初日でつかむもの。

けれど、ルトといるとこちらの常識や思考が、どんどん覆されていく。

そもそも、奴隷と友人関係を持とうなんていうのが、おかしいのだ。


なんてらちのあかない考えを巡らせていると、公園の入り口から見覚えのある、自信なさげな顔が見えてきた。


「……あ、ラサバさん」


「どうも」


こちらに頭を下げながら歩いてきたのは、サバだった。