「じゃーお望み通り、主人になってやるよ。俺はスジュナちゃんとその辺の店回ってくるから、噴水公園で大人しく待ってろ!」
思わず、身じろぎするほど怖い目で睨まれた。
もちろん本気で睨まれたわけではないのだが、確実に怒っているとわかった。
ルトは再度ため息をつくと、スジュナに声をかけ、手を引いて店の外へ出ていく。
一瞬スジュナが不思議そうにこちらへ振り返ったが、私は苦笑いをして、首を横に振った。
ふたりが完全に店を出ると、ひとり取り残されたように店内に立つ私。
…違うのだ。
私は、そういうことを言いたかったのではなく。
つい、口走ってしまったというか。
…私だって、考えているのに。
ため息をつきたいのは、こちらである。
ふと前を見ると、店内のあちこちから視線を浴びているのに気づいた。
………まさか、初めから目立っていたのか。
容姿だけでも目を引く私とルトが、ふたり並ぶとさらに目立つ。



