月夜の翡翠と貴方



「だ…だって、迷惑でしょう。ルトにはたくさんのもの買ってもらっているし。私なんかに、これ以上お金を出す必要ない」

ルトが本気で買おうなんて思っていないのはわかっているのに、口が止まらない。

「私は、必要最低限もらえればいい。ルトはそんなこと、するべきじゃない。ルトは私の主人なんだ、し………」


言ってしまって、ハッとした。

見ると、案の定目の前のルトは、明らかに不機嫌な顔をしている。


「あ…えっと……」


…まずい。

はぁー、と、あからさまに長いため息をつかれた。


「…あーー、そうですか。そんっなに奴隷がいいですか」


呆れたような、低い声。

目を泳がせると、店内を歩き回るスジュナが目に入る。

まだ、店を回る気でいるらしい。

ルトは、呆れた目で私を見てくる。

…ああ、もう。

余計に言うんじゃなかった。

「どーやらジェイドは、どうしても奴隷としていたいらしいな」

…違う。

そういうことでは、なくて……