月夜の翡翠と貴方



「…あぁ、うん」

「往復で一時間くらいなんだけど、それまでふたりで公園付近をうろうろしててくんない?」

そう言って、ルトは懐からじゃら、と音のする小袋を私に渡した。

中には、数枚の銀貨が入っている。


「それで、なんか食いもん買え。余った金は、自由に使っていいから。一時間くらい経ったら、公園にいてくれ」


「…………わかった…」

渡された小袋の中身を見つめながら、返事をした。


「んじゃ、なるべく早く戻るな」


にこやかに手を振りながら、ルトはこちらに背を向け歩いていった。

隣では、元気良くルトに手を振るスジュナがいる。


…呆然と、小袋を見つめた。

確かに、一般に大金と言えるほどの金ではないけれど。

それでも、仮に奴隷であった女に、こんなに容易く金を預けられるものなのか。

決して信頼して欲しくないわけではないが、正直もっと用心するべきである。


とりあえず、ふぅと息を吐いて、スジュナの手を握った。


「行こうか」

「うん!」