月夜の翡翠と貴方



上半身だけ起こしているルトが、時計を見ている。

私は黙って布団をかぶり、彼とは逆の方向を向いた。

やがて後ろから布のこすれる音がして、彼も寝るのだと思った。

「……………」

…それから五分ほど、経った。

ルトは、寝ただろうか。

仰向けになると、横でまだ上半身を起こしているルトと目があった。

思わず、驚く。

ルトは、そんな私に不思議そうな顔をした。

 
「…………寝ねぇの?」

「……さっき寝たから、寝れない」


そう言うと、だろーな、と笑われた。

「………ルトは、寝ないの?」

「んー…疲れてんだけど、なんか寝れない」

「…………」

ごそごそと、私も起き上がる。

膝を折り、体を丸めた。


「………ね、ルト」


ぼそりと小さな声で、話しかける。

ルトは優しい声で、返事をした。

「ん?」

「……私、なんにもしてない」

ルトは、顔を下げた私を、訝しげに見ている。

「してないって…何を?」

「……買われた身として、なにもしてない」

そう言うと、ルトは呆れたようにため息をついた。

「…まだ言う?だから、なにもする必要ないって。なに気負ってんの」

私はふるふる、と首を横に振った。