月夜の翡翠と貴方



はぁ、とため息をつき、ルトを見る。


「……手紙?」


何を書いているのだろうと思ったら、ルトは既にペンを置き、便箋らしき紙を一枚封筒へ入れようとしていた。

「うん」

「……….そう」


誰に、とか、何を、とかは訊けない。

返って来た返事が『うん』だけなのだから、私はそれ以上踏み込めない。

それでいいのだ。

必要以上の干渉も、余計な詮索も、いらない。


「……………」


ふと、思った。

私はこの二日間、完全に受け身である、と。

こうしろああしろと言われ、衣類やらを買ってもらって、助けてもらって。

私は、何の見返りもしていない。

これでは、ただのお荷物のようにも思える。

 いや、ルトの必要としていた私……もとい美しい女、というだけで役割は担っているのかもしれない。

一緒に行動するだけで、ルトについていくだけで、見返りはあるのかもしれない。


けれど、なんだか気に食わなかった。

そこで、ルトが静かに立ち上がった。


「ジェイド、風呂入って来い。俺はもう入ったから」

「え……あ、うん」


宿には、小さな浴室が設けられていた。