月夜の翡翠と貴方



「あ………そ、それは…そうですか…」

男が、頬を赤くしてこちらを見てくる。

ルトをキッと睨むと、目線を逸らされた。

なんて男だ。

弁解のできない勘違いをされてしまった。

仕方なく、私が口を開いた。


「…すみません、勝手に」

「………あ、いえ。……泣いて、いたんですよね。…こちらこそ、ありがとうございます」

彼は悲しそうに、スジュナの目尻を触った。


「いえ…でも、どうしてこの子を置いて…」

帰ってしまったのですか、と聞く前に、扉の向こうから先程と同じ、女の声がした。

「ラサバー!もう開演の時間になるわよーー!」

「あ……………」

それを聞いた男の顔が、急に焦りはじめる。