月夜の翡翠と貴方



「………でも………」

「うるさい」


う、うるさいって……

次の瞬間、深緑が、今度こそ私を捉えた。

つかの間、立っている私の手が、ぐいっと引っ張られる。


「ちょっ………………」


ルトの顔が、近づく。

驚く間もなく、頬に暖かい感触がした。

これは………まさか、唇?

「…え…………」

顔が離され、目を見開いたままルトの顔を見る。

彼は舌を出して、こちらを見上げていた。


「…やろうと思えば、出来るんだよ」


してやった、という顔。


「な………っ」

本当に、何を考えているんだ。

していいことと、悪いことがある。

信じられない。

この男、本当にどうかしてる。

唇を噛んで、避難するように彼を睨んだ。

「…………」

しかしルトは、何故かこちらの顔を凝視している。

…今度は、なんだというのか。

動揺する心を鎮めるように、息をはいた。

「…な、なに………」

「…………いや」