思いが瞬を駆け抜けて~時代を越えた物語~


家康がゆっくりと語り始める。

私は家康を見つめたまま、耳を傾ける。


「果心居士から俺が歴史を既に変えていると聞いたな?」

「はい。」

「俺はお前がこの時代にくる15年ほど前からここにいる……」

「は……⁈」


私は耳を疑った。


あり得ない……それじゃあ家康は…!




「俺はお前がここに来る前からこの時代にいる未来人だ。」




襲われたことのない衝撃。


家康は未来を知った上で歴史を変えていた__

果心居士が言っていた事がわかった気がした。


言葉が何も出てこない…


家康はさらに続ける。


「俺はこの時代を守る為に呼ばれた。〝徳川家康〟は本来の歴史を望まなかった者達の〝意思〟に殺されそうになっていた。俺はその〝意思〟から家康を守り、本来の歴史を守るのが俺の使命だった。」


家康の表情は変わらない。


「〝意思〟ってどういう事…?それにあなたは〝徳川家康〟ではないじゃないですか……!」




「家康は…〝徳川家康〟は〝意思〟に殺された。」



家康は初めて悲痛な表情を浮かべた。