とある国の、とあるお城にて、国で唯一の勇者が王様に呼び出されていた。


「勇者よ」

「はい」

「私の大事な大事な一人娘が悪い輩にさらわれてしまったのだ、助けに行っ」
「無理です」

「…まだ言い終わってないのだが…」

王様は呆れ果てる。

――――そう、この勇者、なんと勇者のくせにヘタレなのだった。