そして100メートル程行った所で、狭いビルの横にある路地に駆け込んだ。
そして、曲がってすぐビルの影に隠れた…

もしも、彼女が私の後を付けていれば――



ビルの影から様子を伺っていると、黒いキャップを深々と被った人物が表通りを走って行った。

やはり思った通り、私の後を付けて来ていたんだ!!


私はビルの影から出ると、逆に彼女の後を追い掛け、コンビニがある交差点の横断歩道で、周囲を何度も見回している彼女に声を掛けた。


「誰を探しているの?」

彼女は私の声に、背を向けたまま動きを止めた。そして、そのままの姿勢で脱力して言った…

「ふう…
その感じだと、私が何をしてきたのか…
私が本当は誰なのかも、もう分かっているんでしょうね」


私は距離を保ったまま、逃げ出した時にはいつでも追い掛けられる様に、動作に注意を払っていた。

「昨日だけど、ようやく分かったの…
全ての事件と、私を襲った人間が誰なのか。

分かったのよ…」


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