私は帰社する電車の中で、社内の広告を呆然と眺めていた。


アリスの死因は自殺…
しかも、カッターナイフで自ら喉を切り裂いたという話だった。

ミユキと全く同じ…


そもそも、自殺する為に喉を切り裂いたなんて話を、今までに聞いた事がない。


偶然の一致なのか、それとも――



私は帰社すると、森田課長に事の経緯を報告した。

「そうか…
編集はこちらでやる事にして、アリスの作品はそのまま書籍化しよう」

森田課長の決断により、書籍化の作業はそのまま続行される事になった。


私はまた、いつもの様に掲示板と感想欄のチェックに戻った。

掲示板は一部を除き相変わらず閑散としていて、チェックにも余り時間もかからなかった。



「おい吉川君。
ユーザーからの、問い合わせメールの返信も頼めるかな?」
「あ、はい」

一番仕事が少なそうな私を見て、森田課長が声を掛けてきた。


周囲を見回すと、人数が減っている分、全員仕事に追われている様だった。


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