母親は私の質問に、床に視線を落とし穴伏し目がちに答えた。
「土曜日の夜…
自分の部屋で、じ、自殺したんです…
で、でも…
自殺する程の悩み事があった様にも思えませんし、あんなにケータイ小説が本になる事を喜んでいた茜が…
本になる前に自殺するなんて、今でも信じられないんですよ」
そこまで話すと、母親はその場に崩れ落ちて、嗚咽混じりに泣いた…
自殺――
新人賞の受賞者が、2人とも自殺なんて何だか気味が悪い。
もうこれで作家が3人に、スタッフが3人…
交通事故に自殺。
これでは、まるで呪われたケータイ小説サイトだ。
呪い?
不意に、私の脳裏に非現実的な言葉が浮かんだ。
馬鹿馬鹿しい。
母親が鼻をすすりながら立ち上がり、私の顔を見つめた。
「すいませんが、本にだけはして頂けますか?
茜の夢でしたから…」
「はい。そのつもりでいますが、私には決定権がありませんので、帰社して上司と相談します。
あの…
茜さんの自殺の方法はまさか――」
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