玄関に通され、線香の香りが強くする方向を見ると、すぐ左側にある部屋の襖が開いていた。その中を覗くと、奥に仏壇が見えた。

その仏壇の前には、若い女性の遺影と白い布に覆われた箱が置かれていた…


「どこで聞かれたんですか?」

不意に招き入れた母親らしき女性が、話し掛けてきた。

仏壇に見入っていた私は一瞬驚いてしまったが、直ぐに落ち着いて対応した。

「あ、いえ…
茜さんが応募していた作品の書籍化についてお話ししようとしていたのですが、連絡が取れなかったものでお伺いしたのです」

「そうですか…

私もケータイ小説で何かの賞に入選し、本になるかも知れないという話は聞いていました。

茜も大変喜んでいて、何度も聞かされましたから…」


やはりこの女性が母親か…
辛い話になるかも知れないが、どうしても聞いておかなければならない。

「それで…
茜さんは、一体どうして亡くなられたのですか?」


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