血まみれで倒れていた…交通事故ではなく?

そうなると、やはり何かしらの悩みがあり、思い詰めて自殺したのだろうか?


ミユキの母は更に、話を続けた…

「私達も考えたくはなかったのですが、最初は誰にも言えない様な悩みがあって、自殺したのではないかと思ったのですが…

ですが、少し変なんです。


どんなに調べても、それらしき事は見付かりませんし…

それに自殺の方法が、カッターナイフで喉を刺すなんて…
そんな自殺の方法があると思いますか?」


私は返す言葉も無く、相槌を打つ事すら出来なかった。

それでも、受話器の向こう側で徐々に声が鼻に掛かり、言葉を詰まらせる母親に言った。


「お母さん…
やはり、小説は本にしましょう。加筆や修正が必要な箇所は、こちらで行います。

娘さんの思いの詰まった作品ですから、生きた証として残しましょう」

「…分かりました。
よろしくお願いします…」



受話器を置いて、私は肩が凝る程入れていた全身の力を抜いた。


ミユキが自殺…


何かとてつもなく嫌な予感がして、身震いがした――


.