この地区の平均的な一般住宅。ブロック塀に囲まれた敷地に、青い屋根の2階建て家屋が建っていた。
アルミ製の格子状になった門の、すぐ横に取り付けられた呼び鈴に手を伸ばすと、まだ鳴らしていないのに、いきなり玄関の扉が開いた。
「あ――…」
玄関を見ていると、中から20歳前後の若い女の子が出て来た。
唯…?
生きている!!
では、一体あの不可解な現象や書き込みは、一体何だったのだろう…
「あの…うちに何か御用ですか?」
玄関から出て来た女の子が、門の正面に立っていた私に話し掛けてきた。
「あ、はい。
私、ケータイ小説サイトのスタッフをしています吉川と申します。
唯さんですよね?」
「ケータイ小説サイト…」
私の言葉を聞いて、ほぼ初対面の私にも分かる位に表情が険しくなった。
そして俯くと、私の横を早足で通り抜けた。
な、なに?
私は何がどうなっているのか分からなかったが、とりあえず唯の後を追った――
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