コンビニの店員の話では、駅から徒歩10分位というので、私は歩いて行く事にした。


この駅から垂直に伸びる道を真っ直ぐに進み、大きいお寺がある交差点を左に曲がって少し行った辺りらしい。

私はとりあえず、その大きいお寺を目指して歩いた。


余り高いビルも無く、排気ガスで黒ずんだ商店と真新しい店舗が混在する通り…それらが絶妙にマッチし、何の違和感もない。

きっと住みやすい街なんだろうな。


そんな事を考えながら10分余り歩いていると、目の前の交差点に黒い屋根の建物が見えてきた。

一般住宅の3倍はあるその巨大な屋根は反り返り、独特の造形で威圧感さえ感じる…


これがお寺に間違いない。後は電柱の番地に注意しながら進むだけだ。


交差点を左に曲がり暫く歩くと、電柱に貼られた住所が目的地にどんどん近付いてきた。

「2丁目4‐1…
多分この辺りだと思うんだけど」

私は目の前にある住宅の表札を覗き込んだ。


「白島……ここだ!!」


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