30分余り電車に揺られていると、唯の自宅住所に一番近いと思われる駅に着いた。

東京都内の駅とは違い駅前にコンビニと喫茶店があるだけの小規模な駅で、住宅地の真ん中にぽつりと立っていた。


当然の様に、この辺りに土地勘は全くない。住所が分かっていても、その地区がどの方向かも分からない。


私は駅前の、バスが1台停まれる程度のロータリーに面したコンビニに向かった。

コンビニなら店員が知っているかも知れないし、周辺地図があるかも知れない。


「いらっしゃいませ」

コンビニに入ると、ちょうど出入口付近で作業をしてる女子高生らしき若い女の子がいた。

「すいません。
この住所がどの辺りなのか御存知ありませんか?」

私が話し掛けながら住所の書いてある紙を見せると、その女の子が身を乗り出してきた。


「ああ、この住所なら結構近いですよ」

「どう行けば良いんですか?」

「この駅前の――…」


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