その日も、掲示板やレビューのチェック、午後から増えた感想欄のチェックをしているといつの間にか22時を過ぎていた。


「流石に今日は何だか気持ち悪いし、早く帰ろう…」

そう呟きながらサイトの管理メニューからログアウトしようとした時、妙な事に気が付いた。


新人賞の最終選考まで残ったものの入賞を逃した【優奈】が、ここ数日小説の更新をしていないのだ。


私はパソコンの電源を切ると自分の鞄を持ち、電灯のスイッチをオフにして足早にエレベーターに向かった。

そして、手にしていた自分の携帯電話でサイトに接続した…


シルバーのエレベーターの扉がゆっくりと開き、私は誰もいないエレベーターに乗り込んだ。


恋愛ヒットメーカーの優奈は、毎日マメに更新する事で有名で、このサイトに登録して1年以上更新をしなかった日がなかった。

その優奈が、3日以上も更新していない…


守衛さんに頭を下げ、携帯電話の画面を見ながら歩き、そして更新中の優奈の小説を開き、感想欄を覗いた。


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