3時間後――

辺りが薄暗くなり始めた頃になり、ようやく都内に入った。
あとは、あの場所を目指すだけだ。あの、瀬戸川さんが働いているパン屋を…


愛美の車にはカーナビゲーションが付いていた為、薄暗い中でも迷わずパン屋に向かえていた。

このままいけば乗り換えが無い分、私達の方が早く着くかも知れない。



やがて車は見た事がある住宅地を抜け、先日来たばかりの静かな狭い通りに着いた。

カーナビゲーションは、目的地に到着した事を知らせる電子音を発っしていた…


私と千里はパン屋を少し過ぎた場所で後部座席から降り、急いでパン屋に向かった。

するとパン屋のすぐ目の前に行った時、パン屋の扉が急に開き、中から人が出て来た。


「田中君!!」

千里が叫んだ。
よく見ると、パン屋から出て来たのは、田中と瀬戸川さんだった!!

やはり田中は、ここ…瀬戸川さんに会いに来ていたんだ――


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