「もう、ちゃんとケーキセットの代金払ってよね~!!」

三春駅から喫茶店に向けて引き返していると、愛美が緊張感の無い事を言いながら駆け寄って来た。
「あれ…田中は?」


私と千里はほぼ同時に答えた。

「逃げられた…」


その言葉に肩を落とす愛美に、私は力を込めて言った。

「大丈夫!!
田中の行き先はわかってる…東京よ。
あの人の所――」

「あの人?」

首を傾げる愛美にケーキセットの代金を手渡し、私は笑顔で告げた。


「2人とも本当にありがとう。次の電車で東京に帰るから…」

私は駅の方を向き、歩き始めた。

早く田中を捕まえないと…
それに瀬戸川さんも!!


10メートル程歩いた所で、両側から不意に誰かがすっと腕を絡めてきた。

「な、何!?」

私は驚いて立ち止まり、顔を左右交互に振って確認した。


「愛美…
それに千里…」

「もうここまできたんだから、最後まで付き合うよ」

「だね~」


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