喫茶店の扉を開け、外に飛び出して周囲を見回すと、田中の背中が三春駅の方へと小さくなっていた。

私と千里は、全速力で田中の後を追った。


しかし、必死で逃げる男性の足は速く、追い付くどころか引き離されていった…


田中はそのままの勢いで階段を上がり、駅の構内に駆け込んで行った。


駅？
なぜわざわざ、追い詰められる様な場所に入って行く――

もしかして!!


私達２人も、少し遅れて駅の階段下に辿り着いた。

「千里、電車よ…
電車に乗るつもりなのよ!!」

「あ…」

私達が階段を駆け上がり改札の向こう側を見た時、上りのホームに１台の電車が止まっていた。


「あれだ!!」

私達は改札に辿り着くと、切符を持たずに通り抜けようとしたが、駅員に止められホームに入る事が出来なかった…

そして、そんな２人の目の前で、電車は動き出した。


「ああ…」

その場に座り込む千里…
でも、私には田中の行き先は分かっていた。


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