鳴り止まない着信音に、田中が焦って胸ポケットから携帯電話を取り出した。
そして、私達の目の前で携帯電話を開いてメールを確認した。
当然、田中は自分に起きている事態が、私達がメールを同時に送信したからだとは分かる筈がない。
連続して送信されてくるメールが、目の前の3人からだとは想像すらしていないだろう。
「どうしたの?」
千里が白々しく声を掛けた。
「い、いや…
な、何でもない…」
何でも無い筈がない。
「お前が犯人だ!!」というメールが10通以上届いている訳だから。
見ていても分かる。
田中の額から大量の汗が吹き出し、すっかり無口になって携帯電話をしきりに操作している。
数分後――
愛美の携帯電話から、メールの着信音がしてきた。続いて千里の携帯電話から…
そして、私の携帯電話からも。
田中の表情が一気に青ざめ、私達3人の顔を何度も見回した。
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