合図も決まり、顔を見合わせる3人…
壁に掛かった時計に目をやると、時刻は既に14:50分を指していた。
「田中って意外と律儀だから、待ち合わせ時間よりは早く来ると思うんだけどね」
愛美が呟くと同時に、喫茶店の入り口の扉が開いた。
振り返って見ると、文字通り坊っちゃん風の髪型に、地味な白と紺の細かいチェック柄のシャツを着た男性が入って来た。
中肉中背で、ヨレヨレのジーパンを履いている姿は、お世辞にも清潔感があるとは言えなかった。
「田中君!!
こっちこっち~」
愛美が右手を挙げ、ブンブンと振って呼ぶ。
田中という男性は、俯き気味にもそもそと私達のテーブルの方に歩いて来た。
「やあ、久しぶり。
急に電話掛かってきたから、正直驚いたよ」
そして、私達が座るテーブルの隣の席に座り、アイスコーヒーを注文した。
「誰だ、この人?」
私の方を向いて、田中は怪訝そうな表情で2人に聞いた。
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