そう前置きした後、千里はコーヒーを一口飲んだ。


「あのRyoって人の作品…

2年前の事件の引き金になったケータイ小説の作風に、そっくりなの。


韻を使った文章っていうのは、根本的に語尾を揃えてテンポを作り出し、読み手の心理を操作するのであって、途中の単語や言い回しに関しては制約が無い…

2年前のあのケータイ小説は既に無いけど、今でも鮮明に覚えている。


多分…
いえ、ほぼ間違いなく、2年前のあの作者とRyoは同一人物だと思う。

そう考えれば、韻を使った文章を書く事にも慣れているし、それなりに知識もあるから」


え…同じ作者?


衝撃の内容に、私は千里の話を聞いても直ぐには理解できなかった。

必死で頭の中を整理し、ようやく2年前の作者とRyoが同一人物だという簡単な事を理解した。


そして、激しく打ち付ける鼓動で顔が熱くなるのを感じながら尋ねた。

「に、2年前の作者の名前は?」


.