「ケーキセット3つ」

喫茶店に入るなり席に着く前から、愛美がマスターに向かって注文をした。


陽気な愛美と違い、千里は真剣な表情で笑いもしない。

愛美は今日これからする話の内容を、知らされていない様だ…



私達の座ったテーブルにケーキセットが並び、愛美がチーズケーキにフォークを刺し込んだ。

その時、千里が私の目を見ながら話しを始めた。

「私…
この前話した2年前の事件以来、ケータイ小説を読んでないの。

あの連続電車飛び込み事件を引き起こしたのは、韻を使ったケータイ小説だった。
あれ以来、どうしてもケータイ小説を読む気にはなれなくて…」

2年前の事件。
確か目の前にいる愛美が、巻き込まれたという…


「そんなケータイ小説の事なんて知らない私の言う事だから、当てにはならないかも知れないけど――」


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