それから直ぐに私は森田課長に呼ばれ、次回の特集に載せる作品のリストを渡された。
「じゃあ頼むぞ」
「はい」
特集で、私がやらなければならない事は2つ。
特集で取り上げる作品を書いた作者にメールを送り、掲載の承諾を得てコメントをもらう事…
そして、自分がその作品を読んで要約するという事だ。
私は早速、対象作家にメールを送信した。
後は、仕事の合間に作品を読むだけだ。
「じゃあ、お先に」
19時を過ぎた辺りから、手が空いた人達が徐々に帰宅し始めた。
私はまだ1作品をようやく読み終える所だったので、まだ帰宅する気にもならず、黙々とページを捲っていた。
実際、ここまで真剣にケータイ小説を読んだ事がなかった私は、少なからず驚いた。
自分が今まで思っていたよりもずっと完成度も高く、作者の思いが込められていたのだ。
これなら確かに、ケータイ小説サイトの運営に不満をぶつける事も理解出来る…
分かっていないのは私達の方ではないのか?
.