画面を苛つきながら見ていた私は、ついに立ち上がって言った。

「森田課長!!
相互投票の書き込みが不正なのではないかという問い合わせが、多数寄せられているのですが――」

本当はそんな物は1通も届いてはいなかったが、所詮は受賞者が決まっている大賞だ。

森田課長には、全く興味の無い問題だろう…

「相互投票の書き込みは、削除してしまっても構いませんか?

その方が、きちんとした運営をしているとユーザーの目に映ると思いますが」

「そうか。
それなら、相互投票は違反という事にしよう。
対応は吉川君に任せるよ」


やはり…
森田課長の関心は、既に書籍化後の販売戦略に移っている。

ユーザーの、全く意味が無いエントリーと執筆活動…
それを管理する事が私の仕事。


ケータイ小説業界って、ユーザーも運営側も、頭の先までどっぷりと個々のエゴに浸かっている…

私に出来る事は、それを少しでも削る事だけだ。


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