翌日――
私は会社に行くと、繭子の感想欄に書かれた誹謗中傷のコメントを削除する為、直ぐにパソコンの電源を入れた。
そうだ。
RyoのIPも確認しなくては…
「相変わらず早いな」
突然背後から声がして、驚いた私は背中を丸めて振り返った。
そこには、爽やかな笑顔で立っている森田課長の姿があった。
あんな不正の指示さえ出しさえしなければ、本当に尊敬出来る良い上司なのだが、今は顔を見るだけで気分が悪くなる。
「おはようございます」
森田課長は私の後ろを通り過ぎると、自分の席に座って言った。
「吉川君にしては仕事が遅いけど、ちゃんとピックアップ作品の紹介文は、月曜日に間に合うんだろあうね」
その森田課長にとって何気ない言葉に、私の胸がズキリと奥深くまで痛んだ。
「は、はい…
大丈夫です」
私が何の為に、こんな大変な事に巻き込まれていると思うの?
全部あなたの出世の為でしょう!!
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