結局、何も変わらないのか…
「はあ…」
思わず、腹の底から深い溜め息が出た。
「どうしたんだ吉川君?」
「あ、いえ…すいません」
森田課長!!
元はと言えば、全てあなたが出した不正の指示が悪いんでしょ!!
ユーザーの事を考えて、真剣にサイト運営をしていれば、こんな事にはならなかったのに!!
尊敬の念を持って仕えてきた森田課長だが、最早そんな感情など無く…
今となっては、どこにも吐き出せない想いが、まるで憎悪の様に私の中で膨らんでいた。
少し眠気が誘う昼下がり、突然森田課長に呼ばれた。
「倉庫のどこかに、去年の大賞をした時の資料があるはずなんだ。
参考にしたいから、探して持って来てくれないか?」
「倉庫…ですか?」
「ああ、隣の物置にしている部屋の事だ。頼んだぞ」
私は森田課長の席から、そのまま真っ直ぐに廊下に出た。
今更去年のデータ何か見ても、仕方がないだろうに…
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