「ムーン出版って…
夢文社の子会社で、携帯小説をメインで扱っている出版社ですよね?」
「ええ、そうだけど?」
千里は私の言葉を聞くと、階段に向かって歩き始めた。
「ちょっと千里!!
あんたどこに行くのよ」
愛美が慌てて引き止めようとするが、千里は振り返って指を差した。
「あの喫茶店…
ここだと人目もあるし、それに立ち話で分かる様な話じゃないから」
私と愛美はお互いの顔を見合せ、急いで千里の後を追った。
私達3人は、駅前から垂直に伸びる通りを50メートルばかり行った所にある、小さな喫茶店に入った。
そして、一番奥のテーブルの奥側に愛美と千里、手前に私が座った。
しかし、あれ程嫌がっていたのに、なぜ急に話してくれる気になったのだろう…
席に座ると、千里が唐突に口を開いた。
「ムーン出版には、愛美が巻き込まれたあの事件の時に、手助けをしてもらったから…
ムーン出版の為なら思い出したくない過去でも、話さなきゃいけないでしょ」
.



