瀬戸川さんは冷笑を浮かべ、吐き捨てる様に言った。
「出版社なんてそんなものです。
どんなに夢を抱いて期待しても、売れない本を出版する事もありませんし、ましてユーザーの事など全く考えていません。
だから私は、会社を辞めて全く関係の無い業種に移ったんですから…」
私は余りの事に言葉を失い、ただ茫然と瀬戸川さんを見つめていた。
「もう良いですよね?
私は仕事に戻ります…」
パン屋に戻っていく後ろ姿に、ハッと我に返り声を掛けた。
「ありがとうございました」
瀬戸川さんは振り返る事もなく、そのまま店の中に消えた…
私は少なからず動揺していた。
今まで、あからさまに運営に対して文句を言っていた書き込みを散々削除したり、運営を罵る様な日記を強制的に閉鎖してきた…
しかしそれは、公正な運営をしているという自負に基づいた行為であって、不正があると発覚した今となっては、自分の仕事自体に疑問が生じる…
きっと、瀬戸川さんも同じ気持ちだったに違いない。
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