「梓ぁ今日も買い出し行ってきてくんない??」
真理子の声で私は目を覚ました。
授業は退屈で、ほとんど寝ていることが多い。
そのあと、お昼に真理子たち5人グループのパシリとして使われるのだ。

それだけならまだましだった。
でも、私はクラスのみんなからも避けられていた。
「梓どいてくんない!?」と大げさなくらい大きい声で私にぶつかってきたり、
「キレイにしてあげるよ。」ってモップを顔面に擦り付けられたり、
裏学校サイトで私の悪口ばっか流してたり••••••。
最悪だ••••••。
いっそのこといなくなってしまいたい••••••。

そんなことを考えていた。

そして買い出しが終わり、真理子たち1人ひとりに弁当を配った。
「梓ぁ終わったならさっさとどっか行ってきたら??」
真理子が得意そうに言う。
「はははははははっ!さっさと行けよ!や な ぎ あ ず さちゃん!」
みんなも一緒になって言ってきた。
私は、足早に教室を出た。
こんな教室じゃいたって意味がない••••••。
そして、いつもの中庭でポツンと1人で弁当を食べた。
弁当を1人で食べるのは少し悲しいけど、しょうがないんだよね••••••。
私はひとりぼっちなんだから••••••。
「教室に戻りたくないな••••••。」


1人でポツンと呟いた。


意味も無いのに••••••。





教室に戻ると、みんなガヤガヤしていた。
だって、昼休みだもんね。
私は長いと感じている昼休みもみんなにとっては楽しくて短い時間なのかな??
席に着くと私の筆箱が無くなっていた。
「どこ行ったんだろ??」
すると、ある少女が駆け寄ってきた。
天使みたいな人だった。
こんな子クラスにいたっけ??っとちょっと不思議になった。
その子は、
「柳さん。筆箱ってこれのこと??」
まさしく私の筆箱だ。
「うん。」
と愛想の無い返事をした。
「そっかぁ。廊下に落ちてるのをたまたま見かけたんだ!よかった~拾って。」
廊下に落ちてたんだ••••••。
それをわざわざ••••••。
私には言い慣れないセリフだけど勇気を振り絞った。
「ありがとう••••••。」
そしたら少女は天使みたいな穏やかな顔で微笑んだ。
「私の名前は『星井 空』よろしくね。」
『星井 空』••••••。

彼女が最後に見せた微笑みに私の心はちょっぴりあったかくなった気がした。