黒猫*溺愛シンドローム~Plus~




「…ああ、萌ちゃん?」



――昼休み。

アイツの机で、ノートを写すダイスケ…ことポチ。


本人不在だからって、勝手に机から持ち出すのはどうかと思うけど…

まあ、私の知ったこっちゃないし。


そこらへんは目をつぶってやろう。



「浅海、ようやく会ったんだ?」



ポチはアイツの“幼なじみ”だから。

当然知ってるだろうと、聞いてみたわけだけど…



「あの子は…可哀想だよな。」


「へっ?」


「歩が母親の腹の中に置いてきたもの、全部持って生まれてきちゃったようなもんだからな。」



意味わかんないんだけど?



「落ち込んだり、自信を無くしたり自分を卑下したり…ネガティブ要素が一切ないだろ、アイツ。」


「確かに…」


「それは全部、生まれるときに持って来なかったからなんだよ。」



なるほど…

ポチってばうまいこと言うなぁ。



「だから、全部萌ちゃんに行っちゃって…
昔っからあんな感じなんだよなぁ。全然自分に“自信”がないの。」