……“お兄ちゃん”??
確かに今、そう言ったよね?
じゃあ、この子って…
「……っ!!」
もう1度、改めてその子のほうを見た私は…
思わず、息を飲んだ。
だって……
「な…何っ?このめちゃくちゃ可愛い“生き物”はっ!」
メガネとマスクが外されて。
きっちり結われた三つ編みがとかれて…
そこにいたのは、さっきまでとはまるで別人。
うわぁっ。
ぱっちり大きな瞳と
ゆるくウェーブのかかった茶色い髪。
白い肌に、ピンクの頬。
まるで、絵本の中から抜け出してきた“お姫様”だ。
これはまさに、
誰が見たって、同じ遺伝子だよね?
「あー、ごめん。風歩ちゃん、初めてだよね?」
やっと、私の存在を思い出したらしい。
こっちを振り返って、申し訳なさそうに謝ると、
「えーと…紹介するね?
妹の萌(モエ)。この学校の1年生なんだ。」
隣の“お姫様”を私のほうに一歩押しやった。
「も…萌ですっ。よろしくお願いします!」

