「何してるの?こんなところで。」
聞き慣れた声が近づいてきたかと思えば、
「……っ!」
それに反応して、女の子は弾かれたように顔を上げた。
え…?何?知り合い?
“萌(モエ)”って呼んだよね?
私の横を素通りして、その子のほうへ向かうと、
「授業は?なんでここに?」
王子は、腰をかがめて顔を覗き込んだ。
……何なの?私は完全無視ですか?
すっごくムカつくんですけどっ。
「しかも、またこんな格好して……」
呆れたようにため息をついてから、スッとその子のほうに手を伸ばした。
「メガネもマスクも…なんで必要ないものを身に付けるの?」
「み…見えないしっ。風邪、引いてるんだもん」
「……裸眼で1.5のはずだし、風邪もとっくに完治してるはずだけど?」
「………っ」
言いながら、それらを外しにかかる王子。
「あっ…ダ…ダメっ!」
その子は必死に抵抗するものの、あっさりとはぎ取られてしまい…
「ひ…ひどいよぉ。
……お兄ちゃん。」

